第2章 プロローグ
それからぼくは、ルイさんの部屋を訪ねるようになった。親には叱られたが、彼女が何者なのかを知りたい。
毎晩やってくるぼくに、ルイさんはいつも面白い寝物語を聞かせてくれる。
北の極寒の地での出来事や季節外れにりんごの生る木、今にも倒れてしまいそうなロケットのある村・・・・・そして魔晄都市、ミッドガルのことも・・・・・
ぼくは今まで誰にも言えなかったことをルイさんに相談した。
ぼくは昔からソルジャーになりたかった。
カッコよくて、みんなの憧れ。
そのことを、思い切ってルイさんに相談したのだ。
するとその途端にルイさんの顔色は優れなくなった。
どうしたのかと尋ねるが、大丈夫、の返答しかない。
しばらく経つとルイさんは、ぼくに部屋に戻るよう言った。
そして明日の夜もここに来るように・・・・と。
今までぼくは勝手に来ていただけなので、こんな風に呼びだされることはなかった。
その夜は中々寝つけず、次の日も上の空だった。
そして、夜。
ぼくは言われた通りルイさんの部屋に行った。
するといつも通り、優しく迎えてくれた。
「今日の物語はね?」
ルイさんはそこで言葉を切り、そしてぼくに微笑みかけた。
「1人の英雄・・・・ソルジャーの話よ?」