第2章 プロローグ
ある晴れた日の昼下がり、ぼくの村に一人の女がやってきた。
迷彩柄の大型バイクに乗り、革のコートをなびかせる。
ゴーグルを付けており、不思議な琥珀色の髪は縛られていない。それなのにその髪は、美しい絹のように絡まることをしらない。
「ねぇ・・・・きみ」
見惚れているといきなり声をかけられる。
女のわりには若干声が低い。しかしそれも心地の良いものに変わる。
「宿屋か何か・・・・知らない?」
ぼくは慌てて親の営んでる宿屋に案内した。
「ここ・・・・あなたの家?フフッ・・・・商売上手ね」
女はゴーグルに手をかけ、首の所までずり下げる。
顔立ちがその時、はっきりとした。
恐ろしいほどに整った顔立ちだ。
だが、大きな瞳には人工的な色が輝いている。
だがぼくは、それに気付かない振りをして、部屋に案内をした。
「新しくはないけど・・・・よく手入れされた部屋ね」
女はコートを脱ぎ捨て、黒いジャケットに同じく黒のスキニーパンツとなった。
「私の名前はルイ・レオニカル。ほんの少しの間だけど・・・・よろしくね?」
女・・・・ルイさんはそう言って笑った。
その顔は幼い少女のようだった。