第6章 一人目の闇 ~2~
バトルスクェア・闘技場入口
『!!』
「ん!?」
倒れている人にクラウド一行は近づく。
ルイは脈の有無を確かめるため、頸動脈に触れた。
『…ダメだ、死んでいる』
ルイはクラウドに向かって、首を横に振る。
途端に、クラウドは弾かれたように立ち上がり、闘技場内へ走っていく。
「ちょ、ちょっとクラウド!」
ティファはそんなクラウドの後を追う。
『なぁ、リーブ』
「…なんですか」
ルイはそんな二人を見つめながら、後を追おうとするケット・シーを呼び止めた。
『クラウドの様子、何かおかしいとは思わないか』
「おかしい、とは?」
『まるでセフィロスに導かれているように感じる。
いや、クラウドの本能にセフィロスを追うことが組み込まれているようだ』
ケット・シーは、ほんの少し考え込むような素振りを見せたが、すぐにぴょこぴょこ跳ね始める。
「クラウドさんのことは宝条に聞くのが一番だと思いますがね」
『聞いておいて』
「他人任せは行けませんで…ってルイさん!
ちっとはボクの話も聞いてくれませんかねー!!」
不満を言うケット・シーを無視し、ルイはクラウドたちの後を追う。
闘技場受付まで入ると、夥しい数の死体がルイの目に飛び込んできた。
鮮血が飛び散り、そこかしこに銃痕が残されている。
「セフィロスがやったのか!」
クラウドがそう叫ぶのが聞こえ、ルイは無意識に叫び返す。
『違う!セフィロスは銃を使わない!』
クラウドは遅れて入ってきたルイの元に駆けてくる。
『いったい何が起こって…』
「う、うう…」
ルイの言葉とほぼ同時に、人のうめき声があがった。
クラウドが駆け寄り、抱き起こす。
「おい、何があったんだ!」
「ウ、ウ…片腕が銃の男…」
「片腕が銃!?」
ティファが絶句したように、ルイも言葉を失う。
無論、クラウドもだ。
片腕が銃の男。
そんな男を、クラウドたちも知っていた。
知っているが、誰ひとりとしてその人物の名前を出さない。
息苦しい沈黙がクラウドたちを包む。
「そこまでだ!おとなしくしろ!」
そんな沈黙を破ったのは、ゴールドソーサーの園長であるディオだった。