第6章 一人目の闇 ~2~
ルイが感傷に浸っている最中に事件は起こった。
『!?』
乱射される銃声。
人々の叫び声。
鉄分を含んだ血生臭さが鼻につく。
その騒ぎは、バトルスクェアの闘技場内から。
ルイが走り出そうとしたところ、ちょうど良いタイミングでクラウドが現れた。
だが、そのクラウドの背後にはルイの目を疑うような人物
(正確には人物ではなくロボット)
がこちらを伺うような、試すような目つきで見ている。
『…そのぬいぐるみはなんだ』
これが、先ほど言っていた「後からわかります」の正体。
ルイとしては、ルーファウスに居場所がバレたところで、対して痛手にはならない。
だが、イルミナ、そしてマリンが囚われているとなると話は別だ。
ここは知らぬふりをするのが得策だろうと考え、ルイはリーブもとい、ケット・シーのことをクラウドに問うた。
「初めましてお嬢さん。ボクはケット・シー言います。
クラウドさんのお仲間さんですか?」
ルイは怨みのこもった目でケット・シーをひと睨みしたが、すぐに無表情に変わる。
『よろしくな、ケット・シー。私の名前はルイ・レオニカルだ』
「クラウドさん、こんなお綺麗な方々に囲まれてほんま…」
『クラウド、中で銃声が聞こえた』
ケット・シーの言葉をわざわざ遮るようにしたルイは、これ以上クラウドにケット・シーを関わらせたくないのだろう。
過去のことがバレては困る。
今、クラウドに思い起こされても困るのだ。
そんなことを知らないクラウドは、目つきを変えた。
「とにかく、中に入るぞ」