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A Time to Love  (FFⅦ)

第5章 一人目の闇


ザックスの死を伝えられたとき、『ああ、やっぱり』
そう思ったのをルイは覚えていた。

頭の中は至って冷静で、『ザックスは存在しない』とわかっていた。
なのに、ルイの瞳からは涙が流れ落ちる。
いくら努力してもどうにもならなかった。

『ごめ、ルーファウス、ちょっと・・・貸して?』

誰かの温かさが欲しかった。
ザックスがセフィロスがいなくなってから、ずっと一人だったルイは、そのぬくもりをルーファウスに求めた。
ルーファウスの胸に頭をあずけ、静かに泣く。
それを促すようにして、ルーファウスはルイを抱き寄せた。

『涙、とまんなっ』
「・・・あの男か」
『一人にしないでよ、なんでみんないなくなるの!?なんで…』

自分の胸の中で他の男を想って泣くルイ。
ルイがザックスに抱いていたのは、淡い恋心と

憧れ

ルイにはない真っ直ぐな精神を持ち、何も顧みず、ただ自分の英雄になりたいという一心で戦い続けた男。

『だいきらい…』
「!?」
『いくら強くなったって、誰も守れない。結局私は弱くて、みんなみんな死んでいく』

怒りに満ちた声だった。
酷く低い声でそう呟いたルイは、ルーファウスでさえ、今までに見たことのない顔をしていた。

「ルイ?」
『こんな私、大嫌い。こんな体なのに、誰も守れない。誰も守れない私なんて…』





ただのバケモノ





ルーファウスはルイの顎を持ちあげた。
泣きすぎて腫れている瞼、赤く充血した目からは、また大粒の涙が零れ落ちている。
だがその涙は、ザックスが死んだから流れているのではない。
誰も守れなかった自分が腹立たしくて
悔しくて
自分の存在価値を奪われたようになって
流しているのだろう。

そんなルイを見ているのが、ルーファウスにとって苦しかった。
だからこそ、ルーファウスは仕向けたのだ。
ルイが自分を恨むように…と。
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