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A Time to Love  (FFⅦ)

第5章 一人目の闇


『あっつ!あっつ!熱い!!』

ワンダースクェアから、バトルスクェアへと移動したルイは持っていたガンブレードを床に落とす。

先ほどの熱がまだ抜けきっておらず、手で持つには無理がある。

『手が焼けるかと思った・・・』

何発か銃弾が当たったのだろう。
コートの裾がボロボロになっていた。
それにルイは軽く舌打ちをすると、コートをその場にあったゴミ箱に押し込んだ。

じわりと額にかいた汗を手の甲で拭う。

ルイは小さなため息を吐き、触れても平気になった柄を持つ。

『アイツは・・・私のこと殺したいわけ?』

極悪非道な婚約者に対しての率直な感想だ。
ルイがそう思うのも無理はない。

実を言うと、キス程度ならしたことはあった。
だが、それは不意打ちと言うべきキスだった。

それが初めてだったわけではないが、友と思い、信頼していた者にされると、酷く心が傷つくのだ。

嫌ではなかった。

嫌いだと、口では言っているものの、彼を躊躇せずに殺せるかと問われれば…

『そんなこと…出来るはずないでしょ』

そう、答えは否である。
誰よりも傍に居たため、その距離感が次第に掴めなくなってしまっている。

恋人としてではないものの、愛してはいる。
だからといって、結婚したいとは考えられない。

昔は笑顔で居られた。
でも、あれ以来…

セフィロスがザックスが居なくなってから…

次第に神羅を憎んでいった。

すべてを神羅の責任にした。
すべてをルーファウスに擦り付けた。

彼はいつでも助けてくれた。
ルーファウスがいなければ…

『今の私はいない…』
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