第5章 一人目の闇
『その声・・・リーブね!!』
リーブ
本名はリーブ・トゥエスティ。
神羅カンパニー都市開発部門統括で神羅カンパニーの大幹部だ。
神羅カンパニー上層部との結びつきが強かったルイは、無論リーブとの面識はあった。
「やはり気づかれましたか。さすがは特殊工作部隊タークスのエースといったところ」
『ルーファウスの差金!?』
ルイの頭には、あの金髪で傲慢で高飛車な男の顔がちらつく。
それを忘れ去るように、頭を大きく振った。
「その通りです。でも、まさか会えるとは思ってもみませんでした」
見た目は可愛らしい、デブモーグリにのったネコのロボット。だが、それを操っているのは間違いなく敵。
リーブの持つ無機物に一時的な命を与える「インスパイア」という異能力。
それを利用しているのだろう。
「ルイさん、神羅に戻るようにと社長からの命令が出ています」
『そんなことするはずないでしょう?』
リミットブレイク寸前と表現してもおかしくないほど、ルイは怒りに満ちていた。
あの男のもとになんて戻らない。
心の底からそう誓っていたのだ。
あれ以来・・・
「・・・そうおっしゃると思っていました」
『無理矢理にでも連れて行く気かしら?無駄よ、一般の兵士に私は倒せない』
そんなこと百も承知。そう言いたげに、ロボットであるケット・シーが肩を落とした。
「そんなことはしませんよ。社長には黙っておきます」
『!?』
「ただし・・・アバランチのバレットとかいう男の娘、それに古代種の娘の母親。この二人は我々神羅の手にあります」
バレットの娘、名をマリンと言う。顔を合わせたことはないが、バレットが何度もその名前を口に出しているのを聞いた。
古代種の娘とは、エアリスのことだろう。
エアリスの母親ということは・・・
『イルミナさん・・・』
「ルイさんが私のことを黙っていてくれるのなら、この二人は無事に返しましょう」
ルイにはその言葉の意味がわからなかった。
なにを黙っていろというのだろう。リーブの秘密など、自分は握っていないはず・・・
そんなルイに気づいたのか、ケット・シーはぴょこぴょことモーグリの上で飛び跳ねる。
「後からわかります。ほな、お願いしますでー」
『ちょ・・・リーブ!!』