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A Time to Love  (FFⅦ)

第5章 一人目の闇



「・・・そんなに怒るな」
『怒ってねぇよ!!』
「怒ってるだろ」
『怒ってねぇっつってんだろ!!』

本気で怒っているルイと楽しそうに頬を緩めているクラウドの口喧嘩は微笑ましい。

・・・ような気もする、とティファは思った。

それにしても・・・と、ティファは不思議そうにクラウドを見る。
ここまでクラウドは人と喋っていただろうか?
昔から寂しがりやではあったが・・・
口下手だったはず。
こんなにも饒舌に・・・しかも口喧嘩などは見たことがない。

成長したのだろうか?いや・・・別人のようにも見える気がする・・・

「どうした、ティファ」

クラウドにそう言われるまで気づいていなかった。
ティファは長い間、クラウドの顔を見つめていたようだ。

「い・・・いや。なんでもないよ」

笑顔でクラウドにそう返した。

『・・・なぁ・・・クラウド』

ティファが考え事をしていた間に、一行は北コレルへと着いていた。
前を歩いていたルイが立ち止まり、クラウドを呼ぶ。

『あれ、どう思う?』

ルイが指さすその先には、北コレルへ先に到着していたバレットがいた。

それだけでは何も不信感は抱かない。
だが、バレットは村人たちに囲まれていたのだ。

ルイは最初、あの素行の悪いバレットが何か悪さをしたのだろうと踏んでいたが、明らかに様子が違った。

「どのツラさげて、もどってきたんだ?」
「見てみろ!おまえのせいで北コレルは、ガレキの町になっちまった・・・」
「なんとか言ったらどうなんだ!」
「自分がやったことを忘れたんじゃねぇだろうな?」

村人たちに罵倒されているバレットは縮こまっていた。
いつもとは・・・ルイたちの知るバレットとは別人のようだ。

「・・・す、すまん・・・」

謝っているバレットを見てルイは気持ち悪そうに、

『なんだぁ!?アイツ・・・悪いものでも食ったか?』

素直にそう感想を述べる。

「チッ、おもしろくねぇ!」
「こんなデクノボウにかまってるとロクなことがねぇな!」

村人はそう吐き捨てながら、バレットから離れていく。

肩を落としているバレットに、クラウド一行は近づいて行った。

だが、バレットは一言こう言った。

「きこえただろ・・・オレのせいで、この町は・・・・壊れてしまったのさ・・・」
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