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A Time to Love  (FFⅦ)

第5章 一人目の闇


途中、ジェットコースターのような線路を越え、橋が上がってしまった地点についた。
その上の橋から向こう側にわたり、橋を架ける操作をしなければいけないようだ。

『頼んだぞ、クラウド』

ポンとルイはクラウドの肩をたたく。クラウドは不機嫌そうに顔をゆがめた。

「どうして俺なんだ」

不満げに眉を顰めながらルイを見る。

『別に誰でもいいだろ?なんだ・・・一人じゃ寂しいか』

ニヤニヤと楽しそうに笑うルイにクラウドはほんの少し安堵した。

コスタでは随分と派手に怒らせてしまったのだ。さすがに気を遣う。しかし、そんな気遣い無用のようだ。

「ああ、そうだ。だからついてこい」
『ちょっと待て!どうしてそうなる!?』

乱暴に腕をつかみルイを引きずっていくクラウド、それに抗うルイ。そんな二人を複雑な気持ちで見つめていたのはティファとエアリスの二人だった。

楽しそうで微笑ましい・・・というのもあるが、ティファもエアリスも、クラウドにほのかな恋心を抱いていた。

無口でポーカーフェイスなクラウドだが、今までのかかわりでどれだけ頼りになるのかは知っている。
幼馴染であるティファはなおさらだ。

そんなクラウドが、ほぼ見ず知らずの女・・・ルイと和気藹々とした雰囲気を醸し出している。

それが二人には・・・いや、クラウドを知っている誰もが不思議でならなかったのだ。

まるで昔からの古い友人のよう。

それはクラウド自身も謎だった。
とにかく打ち解けやすく、話していると楽しい。そして同時に愛しささえも湧いてくる。

まるで自分の中にもう一人別の人格があるように、ルイと話しているときは明るくなれる。

そう考えると、やはり会ったことがあるのだろうか?

そんな考えをクラウドが思いめぐらしていると、いきなりルイの顔がひょいと近づいた。

「な・・・なんだ?」

慌てて上半身を反らす。変な気持ちがないにせよ、ルイの顔が迫るとやはり落ち着かない。

『いや・・・行かねぇのか?』
「あ・・・ああ」

どもりながらもクラウドはそう答え、ルイと共に上の橋を渡り、狭い操作小屋で橋を架ける操作をし、他の仲間に追いついた。
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