第5章 一人目の闇
『足場悪すぎるだろ!!』
ルイは小言をいいながら足場の悪い山を難なく登っていく。ルイの後ろにはクラウドとエアリスが同じく足場の悪い山道を進んでいた。
宝条からの情報を元にコレル山へ向かっていたのだ。
ステップを踏むようにルイが山を登っていると一人の男が休憩しているのが目に入った。
「おっ!あんたたちはちゃんと話しかけてくれるんだな」
服装からすると、きっと登山家か何かなのだろう。男は嬉しそうにそういう。
「なんのことだ?」
クラウドが登山家にそう聞いた。登山家はあきれた様子でこう告げる。
「少し前にすれ違った黒いマントの奴がよ。人が親切に、この先は危険だって教えてやってんのにムシしやがってよう」
黒マント・・・・それはもちろんあの男のことだった。
「セフィロス・・・・」
クラウドはそうつぶやく。もちろんその場にいる全員が思ったことだ。クラウドはそれを代表したのだ。
『さっさと先に行くぞ』
「ここにも、黒マントね・・・」
ルイはさほど、気にしていないようだった。セフィロスを追ってきたのだから居なかったら困る。
登山家の男と別れて、クラウド一行は山を越えていく。
その途中、枯れた木があった。そこは小さな丘になっており、その丘からはルイにとって見慣れた・・・いやそれは誰でも同じだ。
この世界で生きるには必要不可欠となったモノの光が見えた。
エアリスはその光を見た後にクラウドとルイの顔を交互に見た。
クラウドの顔もルイの顔も同じように淡い緑色に染まっていた。そしてその目にも同じ光が輝いているのだ。
ルイはエアリスにザックスの話をしようとはしなかった。
そしてルイはザックスの安否についてなにもいわなかった。
だが、ルイはエアリスに聞かせたくないわけではなく、自分自身がその事を受け入れようとしていないのだ。
エアリスは思う。
クラウドの精神は本当のことを知ったときに壊れてしまうかもしれない。だが、それはティファがそばにいる限り必ず戻ってこられるだろう。
ルイにはそんな人が居るのだろうか?彼女が壊れてしまったときに支えてくれるような人が・・・・
もしかしたらルイは、
もう救いようのないところに居るのかもしれない。