第4章 再会
そんなルイの部屋のドアを遠慮がちに叩く者が居た。
ルイは起き上ると身なりを整えた。
『空いてるぞ』
そう声をかけるとドアは音を立てることをためらいながら開く。その隙間から顔を出したのは鮮やかな金髪だった。
そのまま端正な顔立ちが姿を現す。それはいわずもがな、クラウドだった。
『どうした?』
「話がある」
クラウドは簡潔にそう答える。
それはさっきも聞いた。ルイはそう言おうと思ったが、寸での所でとどめた。クラウドが口を開いたからだ。
「俺と本当に会った事はないか?」
会った事はない。だが、私の名前は知っているだろう。
この様子だとザックスのことはもちろん、自分が新米兵ということも忘れている。
まったく・・・・・どこまで忘れれば気が済むんだ・・・・・
ルイはこめかみをおさえる。
『ないと言っているだろう。それでも私を知っていると言うなら、どこかで私の名前でも聞いたに過ぎない』
「いや・・・・・違う。俺はお前に・・・・」
『クラウド』
クラウドの言葉を遮り、ルイは言葉を紡ぐ。
『もう一度自分自身を見つめ直せ。そうすればわかるはずだ。私のこともセフィロスのことも。アイツのことも・・・・』
「アイツ?」
『お前は偽りにすぎん。もっと自分と向き合い、そして戻ってこい。私は・・・・』
ルイはクラウドの瞳を真っ直ぐに見つめた。
『本当のお前に会いたい』
「!?」
ルイは自分の放った言葉に驚いていた。これ以上はザックスを見ているようで辛い。それしかなかった。なのに、今、口から零れた言葉は紛れもない、本心だったのだ。
「俺は俺だ」
『そうだ。お前はお前だ』
「そして…お前もお前だろう?」
今度はルイが驚く番だった。クラウドはしてやったりと言った顔でルイを見つめる。
「その言葉遣い・・・・・元からのものじゃない。誰かを真似ているのか?」
『お前に・・・・・』
お前に何が分かる。
全てを忘れたお前に、一体何がわかる。
使命感だけでセフィロスを追っているお前に
私の立場も境遇も
彼の立場も境遇も
何も知らないお前に
『お前に何が分かる!!』
ルイは手元にあった枕を思いっきりクラウドにぶつける。中の羽毛が舞い散った。