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A Time to Love  (FFⅦ)

第4章 再会


クラウドは一瞬驚いた表情になったが、すぐに元の表情に戻ると部屋から立ち去って行った。

『何も・・・何も覚えていないくせに』

涙が頬を伝う。何に泣いてるのだろうか?
クラウドがザックスを忘れているから?ザックスを失って悲しいから?

いや、違う。

ルイ自身が自分を認めようとしていないからだ。
自分なら、止められたかもしれない。
こうなる前に、止められていたかもしれない。
それなのに、何もしなかった自分が
何もできなかった自分が

不甲斐なくて、悔しくて。

後悔だけが胸の中に渦巻く。
この7年間、ずっとずっと。

忘れられなかった。

誰かが悪いわけじゃなかった。

だからこそ、止められたかもしれないのに。

『もう、苦しめないで』

苦しまないで。

その言葉はかすれていて、聞き取ることもままならない。

彼が悪いわけじゃないから

誰よりも人間らしくて、真っ直ぐで

けがれを知らなかった。

だからこそ、壊れてしまった。

それを知っているから、自分ではどうしようもないのだ。

壊れてしまっても
彼が、大好きだった、ずっと傍にいたかった。

そんな人の存在が、今、自分を苦しめている。

その元凶を創ったのは自分自身なのに。

『ごめん、ごめんなさい』

謝っても許されない。償おうとしても償いきれない。

だってもうそこにはいないのだから。

もうあの頃の彼はいないのだから。

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