第24章 扇子とあの子
にっかりさんが白い布に扇子を包んだのを私は見ている。
ふと、学生の時に友人は自慢げにあの扇子を見せびらかしていたのを思い出した。
母親から譲ってもらったとか言ってた気がする
いつも肌身離さず持っていた…いやでもおかしい、なんでこの世界に友人のものが来てるのか
さっき流れ込んできた記憶はあの子が轢かれて否、電車に飛び込んだ映像だった
あの子の最期の風景が見えた
私は轢き逃げの事故だったと聞いていたはずなのに
あの子とは色々忙しくて、少し疎遠になっていた時期があった
その時彼女は突然亡くなってしまった
お葬式も近親だけだったはずだ
電車に轢かれたとなれば、遺体は想像を絶するからお葬式が近親のみというのに納得がいく
もし未練を残して亡くなって、その想いが誰かへの復讐だったとして扇子に宿ってたとしたら
「にっかりさん!石切丸さん!待ってください!!晴らしてあげてください、友人の想いを」
「ん?どうしたんだい?」
にっかりさんは立ち止まってわたしの方を向く。
わたしは友人のことと記憶で見た出来事を全部話してみた。
「なるほどね。わかった。あとは任せて主はここでゆっくりしていて」
「本当に、ありがとうございます」
そういうと二人は部屋から出て行き、二人の背中を見送り後ろを向くと短刀たちが抱きついてきた。