第24章 扇子とあの子
「あの扇子から、僕と同じ復讐の匂いがする……あなたは何故そこまであれを大事にするの」
「折角の貰い物だから…でも、捨てた方がいいなら捨てようかな……」
「小夜の言うことはだいたい当たります」
宗三さんにもそう言われたらもう捨てるしかないじゃないか
そう思って扇子が置いてある所に移動して、扇子に触れようとしたら、いきなり脳内に誰かの記憶が溢れ出す。
ジリジリと火花も散る
「な、なにこれ……熱っ」
「主君早くそれを置いて離れてください!」
秋田くんの張り上げた声に即座に反応して手を離した。
パタリと畳に扇子が落ち、火花も無くなって、貰った時の扇子の色が消え去り、ドス黒く変色していた。
「あるじさん大丈夫?火傷してない?」
「……大丈夫、です」
なにこれこわすぎ
バタバタと何人か走ってくる音が聞こえ、開け放たれた襖からにっかりさんと石切丸さんが入ってきた。
「これはまた凄いものを持っているんだね」
「それは僕が預かるよ…これはどこで手に入れたのかな?」
「雑貨屋の主人から貰いました。でもそれ、私の友人が持ってたやつだった…記憶が流れて、思い出した、あの子の扇子。亡くなった子の扇子だ」
石切丸さんの問いにそう答えると驚いている。
「主、これはすごい復讐の念を込められている」
「そんな、なんで」
「わからないけど、とりあえず処分するよ。君が持っていてはいけないしこの本丸にあってもいけないからね」
「……お願いします」
にっかりさんにそういわれ、彼らに任せることにした。