第20章 決行
「ですからここはこうではなくて、って何度言わせるんですか」
「ごめんなさい」
あれから文章考えつつ、パソコンに打ち込む作業をしていた。
長谷部さんはことあるごとにたくさんの事を言って、私の処理能力では到底追いつかないレベルで何度も同じミスをしてしまう。
「……ごめんなさい、長谷部さん、すみません」
なんか目が霞んでなんか出てきた。
やばいなと思っても止まらない。
「あ、主……俺の言い方が悪かったです」
「おやおや、何を泣かせているのです。長谷部、謝りなさい」
「宗三さん、大丈夫です。わたしが、不甲斐ないばかりに迷惑かけてて、長谷部さんはしっかり教えてくれているのに、わたしができないからっ」
「主、ゆっくりやろう……長谷部?」
骨喰が長谷部を見て違和感を感じるも、気のせいかと思い佳奈の傍に座る。
私は涙を無理矢理拭ってパソコンと向き合った。
「骨喰の言う通りゆっくりやりますので、わからないところがあったら何なりとおっしゃってください」
多分涙の原因は向こうの世界にいた時のこととリンクして、フラッシュバックが起こったんだ作業しながら思う。
それから一時間が経過し、やっと文章が完成して政府に送った。
「これで助かるといいなぁ……」
「貴方は本当にお優しいのですね」
彼が目を伏せて言う。
「普通あのような目に合われたら絶対に許せないと思うのですが」
「詳しくは知らないが、俺だったら根に持つきがするな」
私の一言に3人は口々にそう言った。