第19章 作戦
「……とりあえず政府に、報告入れた方がいいですよね?」
「そんなことしたら主が消されてしまうよ。いいかい、現世の者をこの世界に取り込むのは本丸を持つ人間しか駄目だと政府が決めたらしいんだ。本丸を持たない中条悟をこの世界に入れたのが主だと知れたら、中条悟も主も連帯責任として消されてしまう」
石切丸が詳しく教えてくれたけど私は納得がいかなかった。
なにそれ
消されるってなに
だったら中条悟をわたしが消しちゃえばいいってことじゃね
よし、行動するが早いか
立ち上がったものの全身に痛みが走る。なんとかフラフラと襖の方へ歩く。
「どこへ行くんだい?」
にっかりさんが行く手を塞ぐように立ちはだかった。
「私が、中条悟を消します。そうすれば解決しますよね」
「それは人殺しということになってしまいます。主は血に汚れることは無いです。それにそんなことをしたら消されるどころか政府に連行され、死ぬまで苦しまなければならないのですよ」
「一期さん、そんな事言ったら何も解決しないです。私は苦しんでもいいんです。だけど、あの男がわたしは許せない……」
「もっと他の案を考えようか。さぁ、座って」
光忠に腕を引かれて席へ戻された。
「じゃあ、どうすればいいんですか?もう、私にはわかりません……あの本丸の刀剣たちは悪くは無いと思っています。色んな酷いことをされたけど、それはあの男の指示ですし、あの男が居なければこんなことにならなかった。あの男は許せないんです。」
「政府に嘘の報告をするのはどうでしょうか。昨今、ブラック本丸というのがあるようで、政府はそれを撲滅しているそうですが」
数珠丸さんのその一言に、刀剣男士も私も彼のほうへ向き、次に紡がれる言葉を待った。