第19章 作戦
「ではまず、中条悟という人物から話しましょう。あの男はまず、主の知っている中条悟ではありません」
「え、違うんですか?でも、中条悟と名乗ってましたし顔もそうでしたけど……でも、私がクビになったあと記憶消されたはずなのに私のこと知っていた………」
「そうだね、そこがおかしいよね。長谷部くんの言ったおりその中条悟は違うんだ」
「そしてあの本丸自体今は動いていないことがわかりました」
「でも、動いてなかったら入れないですよね?」
「主、今回のことは君がした事なんだ」
「私が、がした事?」
光忠の一言に頭に疑問符が浮かぶだけだ。
「主は現世に未練がおありのようで」
「…ない、ですよ」
太郎太刀の言葉に少し心がびくっとしたけど、未練なんてもう捨て去ったはず。
「いや、少なからずあるんだよ。じゃなきゃ中条悟の型をこの世界に呼び込めてない。でも君に興味を持って君を傷つけたのは中条悟の中にあった欲なんだ」
「なんで、わかるんですか?」
「この長谷部がすべて調べ上げ、至るところから情報収集をいたしました」
「中条悟が入り込んだのは、主がここに来てから少し経った頃であったようだ。まぁ、気づくわけはなかろう。主は最初の頃はあちらの世界に未練があったのは見え見えだった。それから中条悟は最初は自我があった。だが、落とされた本丸が悪かったのだろう自我は消え、闇に飲み込まれた」
極めつけの宗近の言葉にさっきから心臓がうるさい。
たしかに言われてみると最初は未練タラタラで仕事どうしようってなってたし、そりゃいきなりゲームの中に取り込まれて帰れなくて、無断欠勤なんてしたら社会人として失格で焦るのも当然だ。
仕方ないと思うけど、もうどうすればいいのこれ。