第17章 温もり
お風呂から出ると、痛みは少し引いたみたいだ。着替えて次郎太刀に支えられて自室へと戻った。
一人きりになり、電気もついていない部屋に座ると自分の不甲斐なさといろんな感情が混ざりあって、また涙が溢れてくる。声も抑えきれなくてまた泣いた。
体育座りをし、顔を腕に埋めていると温かいぬくもりに包まれ、顔を上げる。
「主よ、何があったかは知らんが、もう大丈夫だ。何も恐れることは無い。誰も責めんぞ」
「いわ、とぉ、し、さん」
大丈夫、大丈夫と宥めてくれ、久しぶりに泣いている時に優しくされたから余計に涙があふれる。
「風呂へいったのに顔がぐしゃぐしゃになってしまうではないか…ちょっと待っていてくれ」
温もりが離れ、目に温かいものが当たる。
「ホットタオルというものをこの間知ってな、泣き腫らした目には効果があると聞いたぞ」
「ありが、と、ございます…」
「ほら、呼吸を整えたまえ。そろそろ夕飯の時刻だ」
「こんな顔じゃ、むりだ、よ、それに、わたし、汚いから」
「何を言っているのだ。これをかければ問題はないだろう。主は何も汚くはない」
そういった彼は目に当てているタオルを外してサングラスをかけてきた。
「つい先日、遠征に行った時に珍しいものがあって、つい買ってしまったのだ。なかなか使う機会がなくてな。ここで役に立てて俺は嬉しいぞ」
そんな優しさに少しずつ呼吸も落ち着いた。