第17章 温もり
お互いタオルを巻いて湯船に浸かる。
「こんなに怪我して…もうヤンチャすぎるんじゃない?」
「ごめんなさい、私、本当に、迷惑かけてばっかで」
「何が迷惑?もう、何かあったなら皆に言わないと!アタシ達なんかこれっぽっちも迷惑なんて思ってないし。主はそうやってなんでも背負おうとするんだから。さっさと吐いちゃいなさい」
次郎さんにそう言われて涙が出てきた。嗚咽を漏らしながら泣く私を、赤子をあやすように背中をポンポンと叩いてくれた。
「そんなに泣いたら目が腫れちゃうよ?にしても、誰がこんなことしたの?男の臭いが凄かったし、擦り傷とか背中は鬱血してるし、首元なんかも鬱血酷いし」
「………全部、私が、悪いんですっ」
「誰にやられたのかってアタシは聞いてるの!主が悪いなんて思ってないし逆に被害者じゃない!被害者が庇う必要なんてないのよ」
彼の言葉に、素直に全部話すことにした。
「っ、元の世界の、会社一緒だった中条さん、って男の人に攫われて、そこの、刀剣たちに、いろいろヤられて」
「待った、なんでその男は主の記憶があるの?おかしくない?主が来たときにはもう記憶消されていたって紙に書いてあったじゃない」
「あっ」
そうだ、冷静に考えればおかしい。なんで、中条さんは私のことを知っているのだろうか。皆私の記憶を消されたって紙には確かに書いてあったはずなのになんで。
「次郎さん、助けなきゃ、あの本丸何かおかしい、中条って人もおかしい、まだ、あの本丸に、一期達がいるの、どうしよう、私、私」
パニックになって痛い体にムチを打って湯舟から上がろうとしたら腕を引っ張られた。
「落ち着いて、大丈夫。アイツらはそんなにヤワじゃない。アンタが育て上げてるんだから」
「でもっ」
「アンタ、アタシ達の主でしょ?主がそんなんじゃダメだって、一回落ち着こ」
彼に言葉を投げかけられるも不安でどうしようもなかった。