第17章 温もり
本丸の外へ出たものの、遠征から刀剣たちが帰ってきて、男の審神者も帰ってきたのか鉢合わせをしてしまった。
「佳奈、どこへ行こうとしているの?」
「やだ、やだよ、帰る、帰るの」
石切丸に抱えられた佳奈は掠れた声で言う。
「こう言っているんだ、俺達の主だから返してもらおう」
「へし切のくせに……お前らやっちまえ」
中条の一言で刀剣たちが向かってきた。
「石切丸さん、ここは私たちに任せてください。主を頼みます」
「ああ、頼んだよ。主が悲しまないよう、1人も欠けずにね」
「もちろんです。すぐに片付けて帰ります」
一期一振がそう言うと中条の刀剣目掛けて走って行った。
「私たちも行こうか。しっかり捕まっていてね」
石切丸の優しい声に心が少し和らぐ。だが、皆に迷惑をかけて、情けなくなって不意に涙がこみ上げてくる。
彼の袖をグッとんで涙が零れないように耐えた。