第16章 ※奪還
「では中へ行くとするか」
三日月の言葉で中へ入った。
どうやら運良く審神者は出かけているみたいで、他の刀剣は遠征に行っているみたいだ。そして早足で主のいる部屋の前へ向かい、勢いよく襖を開けた。
「ほら、イキなよ、あんたの刀剣に見られてる前で」
加州清光の一言を聞いて自然と動かしていた腰が止まる。今まで沈んでいた意識がその一言ではっきりと浮かんでくる。
「いや、見ないで、やだ、助けて、やだ、やめて、やだ」
「主を返してもらおうか」
「それは出来ないな」
「簡単に返すなんてしたら主が怒るに決まってるからね」
大太刀を振りかざした石切丸と燭台切が向かってきた。素早く太郎太刀が石切丸を受け止め、長谷部は燭台切を受け止める。
同田貫が清光の上に跨っている佳奈を抱きかかえてどかし、三日月と一期一振と燭台切は周りの刀剣が襲ってくるのを阻止し、石切丸は同田貫から佳奈を預かり、散らかっていた服を羽織らせる。
「主、もう大丈夫です。帰りましょう」
石切丸に抱えられた佳奈の目をしっかり見つめ長谷部はそう言った。
「ごめん、なさい、ごめんなさい、」
泣きじゃくり謝罪の言葉を紡ぐ佳奈。
「よし、主を奪還したから帰ろう」
石切丸の言葉に交戦していた刀剣達は距離を置き全力で本丸から出た。