第16章 ※奪還
「それで、主はどこにいる」
長谷部が問うも返答は返ってこなかった。
「貴様らは場所を知らないのに行こうとしたのか……」
「でも声を聞く限り近くにいるのでは?と思ったのです。弟達も聞こえたと言っていました。それにゲート潜って町の方へ行けば目撃者もいるかと」
「僕はとりあえずあそこの茶屋に行ってみるよ」
「では俺はあそこの雑貨屋にでも」
「じゃあ俺はそのへんの人に聞いてくるぜ」
「待ってくれ、単独行動は辞めてまずは近い雑貨屋から行くぞ」
太刀は団体行動というものができないのかと思う。まずは雑貨屋へ入ることにした。
「おや、現世のものまで売っているとは」
「珍しいね。この扇子なんか主に似合いそうだね」
大太刀は店内の売り物を見ている。確実に本来の目的を忘れている気しかしない。
店主に三日月と同田貫が詰め寄り、情報を聞いていた。そしてある程度聞き終わり雑貨屋を出て情報を共有した。
「どうやら、主は扇子をあの店主から譲ってもらったそうだ」
「後は変わったことは無いって言っていたが、その後に男が来て主が何を買ったのかとか聞いてたらしい」
「男って誰だろうね」
「もしかしたら主の失踪に関係しているかもしれません」
一期一振の一言にみんな怪訝な表情を浮かべた。