第15章 ※何処へ
「あれ?主は?」
「主は少し外へ行くと言って出て行ったが……帰ってくるのが遅いな」
その頃佳奈の本丸では主がいないことに気づいた清光と安定が長谷部に問うていた。
「ふーん、ま、そのうち帰ってくるか。安定、稽古しようよ」
「わかった」
清光と安定は部屋から出ていき、廊下を走る音が聞こえた。
「長谷部くん、主どこに行ったかわかるかな?」
次に部屋に来たのは朝の出来事の本人だった。
「燭台切、朝のことだが…」
「言っておくけど僕だけじゃ無いみたいだよ。今日は凄く調子が良いんだ。演練に出てみたらもう絶好調で誉ばっか取ってね。この前は一期さんが凄かったしその前は三日月さんが凄かった。もしかしたら…ね」
「話を逸らすな。今は燭台切、貴様の話をしている」
「……主は女、僕は男、同じ空間に居れば起こることだよ。元の主だってそうだった」
「もういい、俺はそういうことが聞きたいんじゃない……主はああ見えて情緒不安定な所があるだろ」
「そうだね。僕だってそれくらい分かるよ。弱味とかに漬け込んだわけじゃないから、そこは安心して。僕だって長谷部くんと同じ気持ちだからね」
主の居場所知らないならじゃあ行くよと言って燭台切は俺の前から消えた。それにしても主が帰ってくるのが遅い。
昼前に出て言ったのにもう日が沈もうとしている。
何か事故に巻き込まれたんじゃないか?嫌な方向へと考えが向かっていく。