第112章 薬指
重たい目をあける
バタバタと外が騒がしい
何かあったのかと思いながら襖を開くと、長義とその隣に眼鏡をかけた明石国行が立っていた
私は思い出して後ずさった
「主、新しい刀が来た」
「どうも、すいまっせん。明石国行言います。どうぞ、よろしゅう」
目の前の2人は私が後ずさったことに気づかず挨拶をしてきた
「あ、えっと、よ、よろしく、お願いします……明石さん」
彼の手が伸びてきて恐怖を感じた
彼はあの時の明石国行と違うと思って差し出された手に触れる
「主はんの手は小さいんやなぁ…自分、やる気ないのが売りなんですど、愛染も蛍丸にも会えて嬉しい思うたんや。せやから、世話んなります」
そういう彼を見つめるだけしかできず2人は去っていった
呆然としていると鳴狐が視界に入る
「あるじ?明石国行にあった?」
うんと頷く
「……部屋入ろう」
手を引かれて座らされる
「思い出したの?」
「あの時の彼とは違うのに、怖い」
「なら刀解する?」
「しない、絶対しない」
「ちゃんと彼を見てあげて、あの時の彼とは違うから」
「…鳴狐、ありがとう。もう大丈夫だって思っていたはずだったのにね。少しぎこちなかったのバレてるかもしれない。でも、私はこの本丸の主だから胸張っていけるようにしたい」
「うん。鳴狐も、サポートするから」
その言葉を聞いたあと、襖が開いた