第14章 事案
玄関へ行く間、誰とも会うことは無かった。
さしずめさっきの出来事の会議でも開かれているのだろう。
そう思うといたたまれなくなって早々に本丸を出る。
こっちにきて初めての外の世界だった。
少し歩くとゲートがあり、そこには出陣、万屋などの文字が書かれている。万屋の文字が書かれた紐を引っ張るとゲートの門が開き、城下町とも呼べる風景が広がった。
なにこれすご………時代劇にででくる城下町じゃんこれ
なにお殿様とかいんのかな?いたとしたらゲームみたいなイケメンがいいなって何考えてんだ私は。
「嬢ちゃん、ちょいと寄って見ていきな」
声をかけられてそのお店へ赴いてみた。
お店は雑貨屋さんで、私のいた世界では珍しい簪や昔の櫛が売られていた。
「おや、嬢ちゃん見ない顔だね。最近越してきたのかい?」
「あ、はい、まだ来たばかりです」
「そうかい、そうかい。ならゆっくりとしていっとくれ」
「ありがとうございます」
店主さんの言葉に甘えて、店の中をよく見せてもらうことにした。
どれも煌びやかで美しい模様の扇子なども売っていた。
ついつい手が出そうになった。
ふと気になった扇子があり手に取る。それは黒と白を基調にして、桜の花びらの柄が入っていて金色の斑点が入っているとても綺麗なものだった。
「嬢ちゃん目が利くね。それは2010年からきたものだよ。195年も前のものなのに保存方法が良かったのか、未だに綺麗な形のまま残っているんだ」
へぇ〜とおもいながら手に取った扇子をまじまじと見つめる。
なんかどっかで見たことあるんだよなぁ……
どこで見たんだろ、全く思い出せない。