第106章 飲まれる
「次郎太刀、主は?」
鶴丸が次郎太刀に声をかけると、眠った佳奈を自分を背もたれ替わりにして座らせその様を見せる
「寝てるのか?」
「そうなんだよ、日本酒飲んだだけだよ?この子フラ〜っと寝ちゃったわけ」
「なんだ、つまんないな。俺もここで飲んでいいか?」
「もちろんさ、新参者達も連れてきなよ」
「わかった」
鶴丸は各刀派に挨拶回りを終えた3振を連れて次郎太刀の元へ戻ってきた
「酒好きな刀が多いんだなここは。俺も酒は好きだ、次郎太刀とは気が合いそうだな」
「酒飲み仲間が増えてアタシは嬉しいよ」
「主は寝てしまったかな?」
長義は次郎太刀を背もたれにして眠る佳奈を見て少し残念そうな顔をした
「次郎太刀が無理やり飲ませてそのまま眠ってしまったのです。私が目を離した隙に」
「そういうことだったのか。いやなに、主に詫びのワインを買ってきたから一緒に飲もうとしたのだが、まぁこれは別の機会に取っておくかな」
そのやり取りをしている中で御手杵と鶴丸は佳奈の頬をペチペチ叩いていた
「主起きてくれよ、慰労会も兼ねてるんだからさ」
「御手杵の言う通りだ。主、酒とつまみも無くなるぞ?」
何をしても起きそうになく、その様子を見ていた一期一振と宗三と蜂須賀が佳奈をその場から引き剥がしにきた
「鶴丸殿、御手杵殿、起きないのであれば私たちで主を預かります」
その声に佳奈はパチッと効果音がなりそうな勢いで目を開いた
だいぶ目が据わっている
「ごめんね、寝てた。おはよう。もう生き返ったから、大丈夫」
そう言って目の前のグラスを飲み干す