第106章 飲まれる
僕と付き合ってくれませんか
その一言が胸に突き刺さる
本当にいいの?私なんかでいいの?声にしたいのに、言葉が紡げない
「嫌、だったかな?ごめんね、君の気持ちも考えないで…ごめん、こんなこと、言うの良くないよね。君は決意してくれて、それを踏みにじっているから……贔屓なんて君は出来ないのは知ってる。でも、少しでも君の歩む人生の一部に関わりたい……こんなこと言われても困るだろうけど、言葉にしないと分からないから伝えているんだ」
「…っ光忠、ありがとう…嫌じゃない、嫌じゃないの」
「弱みに付け込むようなことしてごめん」
「…ちがう、ちがうの、死ぬまで、よろしく、お願いします」
そう言うと抱きしめていた力が離れ、目を合わせられ、まるでおとぎ話の王子様のように手の甲にキスをしてきた
絵本の中のお姫様はこんな感じなんだろうなと、状況は違えど手の甲にキスされるのなんて初めてだから戸惑う
「…戻ろうか。僕達の本丸に」
その言葉に頷き、睡眠薬は光忠が自分のポケットに入れて、手を繋がれて離れを後にする
自室に戻り、光忠がホットミルクを作ってくると言い部屋を出た
幼稚なことしか出来ない自分に罪悪感を感じた
すこし時間が経って、部屋に光忠が戻ってきた
その後ろにまんばちゃんと長義さんがいる
私は目が合わせられなくて下を向く
「はい、ホットミルク。これ飲んで少し落ち着こう。山姥切くんたちと少しお話しようか」
テーブルに置かれたホットミルクを少し飲んだ
そして目の前に座るまんばちゃんと長義さんを見る