第105章 弱い自分
光忠の表情は少し怒っているように感じる
たとえ怒っていなかったとしても、萎縮してしまう私は弱い人間なんだと心のどこかで思う
「……黙ってて、ごめんなさい」
「もう謝らなくていいよ。僕は怒ってない、心配しているだけだから」
そう言って光忠は私を抱きしめてきた
背中をポンポンと軽く叩き、頭を撫でる
「難しいよね、生きるのって。僕は刀だけど色んな人間を見てきた。でも何もしてあげることが出来なかった。でも今は、こうやって目の前の佳奈を抱きしめることが出来るんだから、君がいないとできない事だよ」
少し呼吸が荒くなる
涙が溢れる
「もう、審神者やめて、この世界と、お別れ、しようかなって、思っちゃった、さっき、長義さんに、神様に向かって、刀解って、言っちゃって、私……少し多めに、睡眠薬飲んで、でも、普通に無理で……1度言ったことは、取り返せない、のにっ、全部なかった、ことにしたくて」
胸中を打ち明けると抱きしめる力が強くなる
「発言に、責任持たないと、いけないのに、子供みたいな事しか出来なくて、私、ここに、来なければよかったんだなって、上に立てるような、人間じゃないからっ…逃げることしか、できなくて」
「大丈夫、大丈夫だから」
「自分が、嫌い、大嫌い」
「そんな事言わないで。佳奈のこと誰も責めたりしないから」
「ううん、全部、全部、私が悪いから、光忠、ごめん、1人にして」
「1人になんてしない。1人にしたら君は何をするか分からない。主を失いたくないから……こんな事言うの凄くかっこ悪いと思うけど…前に君を拒んだこと無しにする。君が長生きして、天命を全うするまで僕はどんな形でも君と居る。だから、君の想い受け入れたい……人間じみたことしたいんだ。刀の付喪神であっても、君を幸せにしたい…他の人間の物になんてなるのは嫌だ……僕と付き合ってくれませんか」
光忠の言葉に、息を飲む
彼は今なんと言った?