第104章 いざ山へ
本丸へ戻ると、なにやら鍛錬場が騒がしくて山伏さんと目を合わせて向かうことにした
「偽物のくせに、なんなんだよ」
「俺は、偽物なんかじゃないっ」
鉄の交わる音がして2人の山姥切の声がする
「主!どこ行ってたのさ!」
次郎さんが私を見つけると走って手を引いて傍観している刀たちの最前列に連れてこられた
「……これは?」
「山姥切…長義の方が俺の真価をどうのこうの言って手合わせを始めたんだけど、真剣でやり始めちゃって、生憎ここには太刀と大太刀しかいないから下手したら力の加減で倒しちゃって、手入れ部屋〜なんてなっちゃうから手が付けられないのさ」
説明してくれる次郎さんにお礼を言って、乱闘行為禁止にしてたのにいとも簡単に破った二人を見て怒りのボルテージが沸々と湧き上がり始める
「あちゃ〜、主、無理だけはしないでよ?」
私の顔色を見た次郎さんに言われバレてしまっては仕方ないと思った
「……なにしてんの…………」
ポツリと低い声で呟くと、髭切が刀を渡してきた
「僕の使っていいよ。髭までスパって切れるからね」
「いや、主は刀を使ったことがないだろう兄者。主も受け取るのをよしてくれ」
そんなやり取りをしていると、内番を終えたであろう歌仙と清光くんがダッシュで刀を抜いて止めに入ってくれた