第103章 写し、偽物
「主、茶でも飲んで落ち着こうではないか」
「グスッ、だって、偽物って、酷いよ」
部屋から出たあとも、涙は止まらない
審神者部屋に連れていかれた
「主、山姥切国広自身は写しというものを理解している者には、自分を正当に評価してもらっていると思っているのではないか?」
「……」
「あいつの根は素直な奴だと俺は思っているからな……主も少し頭を冷やそう。とりあえず茶と菓子を用意してくる、待っていられるか?」
私はその問いに首を横に振る
鶯丸さんの厚意は有難いのに、色んな想いがごちゃごちゃしていて何も口に入れられそうにない
本歌が写しに対して言った言葉が私の心に深く突き刺さって、抜けない棘のようだ
「……心が痛い………1人にしてほしい」
「本当に大丈夫なのか?一人で抱え込むのは良くないからな」
「少し考えたいの……」
鶯丸さんは、私の言葉を聞いて部屋を出て行った
ごめんなさい
呟くように閉められた襖に向かって呟く
時計の針だけが鳴り響く部屋の中
仕事をすれば少しは気を紛らわせると思い、目を擦って書類に目を通した
無心になり、政府からの様々な事務作業をして次の日の遠征の部隊やら出陣の部隊を決めていった
少し外の空気を吸いに庭へ出ようと、廊下を歩いていると山伏さんと鉢合わせた
「主殿!拙僧と山へ修行へ行くのはどうであるか?」
気分転換になりそうかなと思い、私は頷いて山伏さんと山へ行くことにした