第103章 写し、偽物
「俺こそが長義が打った本歌、山姥切。聚楽第での作戦において、この本丸の実力が高く評価された結果こうして配属されたわけだが……さて」
あれから納得のいかない顔をした2人をよそに、こんのすけが走ってきて部屋へ呼ばれた
念の為、出陣部隊にも同行してもらう
部屋の中には刀があり、顕現させると、目の前には本歌の山姥切、私の隣にはまんばちゃん……
この空気に耐えられない
「やあ、偽物くん」
偽物くん…にせものくん……ニセモノクン?
まんばちゃんのこと?何言ってんのこの刀は
私の中で山姥切長義の株が大暴落している
「……写しは、偽物とは違う」
そうだよ!まんばちゃん!その意気だ!
もっと言ってやれ!
「俺を差し置いて山姥切の名で、顔を売っているんだろう?でもそれは仕方がないか。だって、ここには俺が居なかったんだから……俺が居る以上、山姥切と認識されるべきは俺だ。そのことを教えてあげようと思っただけだよ」
まんばちゃんは布を深く被った
あれおかしいな、なんか目から水が流れてきた
「あ、主!」
「主よ、泣くでない」
「おい、山姥切長義、主を泣かせるな」
膝丸さんが私の背をさすり、宗近が私の目を拭い、兼さんは山姥切長義に迫る
「だって、偽物って……偽物じゃないのに、私、勉強したんだよ、写しの意味」
まんばちゃんと最初の頃、鍛刀部屋で話した時
自分の知識の無さがあれから悔しくて仕事をしながら勉強した
「なのに、山姥切の名で、顔を売ってるとか……そんなことないのに、まんばちゃんは、刀工国広の、第一の傑作、山姥切国広なのにっ……なのになんで…」
「主、そこまでにしておこう。取り乱してしまうのは良くない」
鶯丸さんは私の腕を引いて、宥めながら部屋から出た