第99章 睡眠は大切
「主」
庭に咲く花に見とれていると、声をかけられその方を向くと鶯丸さんがいた
「朝早くからどうしたんだ?」
「散歩的な感じだけど、鶯丸さんも早いね」
「あぁ、たまに早く目が覚めることがあってな、こうして庭へ出て季節の移ろいを見るのが好きなんだ」
すごくかっこいいこと言ってる
歌仙の言葉を借りると風流すぎる
「……寝られていないのだろう?」
ふと鶯丸は朝日に照らされた佳奈の顔を見ると顔色が良くないことに気づいた
「…よくわかったね……なんか寝られなくてずっと起きてた。寝た方がいいんだろうけど寝れなくて」
「なら、今から眠ろう。いい場所を知っているんだ」
有無を言わさず、鶯丸は佳奈の手を取り屋敷へと歩く
「どこ、いくの?」
「まぁ、主の心が休まる場所だ」
気になって聞いてもそう返されて、廊下を歩いた
皆の各々の部屋から遠ざかり、屋敷の中でも私がまだ足を踏み入れたことのない1番奥の方へ来た
ポツンと小さな部屋があり、そこへ通された
中へはいると茶室だった
こんな所があるとは全く知らないで生活していた
そんな驚きも露知らず鶯丸さんは正座をして自分の太ももをポンポンと叩いた
「主、頭を俺のふとももに預けろ」
「えっそんな、枕持ってくるから」
そう言っても鶯丸さんは無言で私の腕を引っ張り、無理やり太ももに私の頭を乗せて横にさせる
「佳奈、今だけは全て忘れて眠ってくれ」
手で目を閉じるように覆われて、目をつぶると不思議と眠りに落ちていった