第95章 ※初めての優しさ
それから心ここに在らずのまま、仕事を再開させた
いつのまにかお昼を過ぎていて、お昼ご飯を食べてそれからなんだかんだしていたら、夕方になり夜になり、夕飯の時間になった
広間へまた行くと宗近に呼ばれた
「主、心ここに在らずみたいだが、大丈夫か?」
「えっ、なんで?」
「今日の主は見ていて何故かとても不安になるのだ。何があったか話せ」
「いや、その、大丈夫だから。これは私の問題だし、宗近がどうこうできる問題じゃないから、ごめん」
「そうであるか。ならば仕方ないな。その心が晴れることを願っているぞ」
宗近が心配してくれるなんて驚きだったけど、なにより見ていて不安になると言われ、表に出さないようにしていたのにと思いつつ気をつけようと思った
夕飯も食べてお風呂も入って部屋で待機する
時刻はもう23時過ぎだった
落ち着かなくて書類作成をしていると襖に影がかかった
「主、入るよ」
「どうぞ」
光忠が珍しく着流しで現れた
「仕事、お疲れ様。迎えに来たよ」
私は書類をしまって、光忠と手を繋いで離れに向かった
離れに来るのは何気初めてで、襖を開けて中に入ると光忠は結界を張ったみたいだった
「緊張、してるよね。とりあえず香を焚いてみたんだ」
「ほんとだ、いい香りする。この香り好きだな」
「茉莉花の香りだよ。ジャスミンって言えばわかるかな?」
「うん!ジャスミンってこんな香りするんだね」
いい香りを堪能していると、光忠からコップを受け取り晩酌をした
「それにしても主が小さくなるなんて思ってもみなかった…普通僕達がなるもんじゃないのかなって思ってたのに」
「なんかね、私の霊力が大幅に低下して、いろいろあったから精神的にもきてたらしくて、それが影響したらしいの」
そうだったんだねと光忠は言って私を見て抱きしめてきた