第89章 逸らした目
「………燭台切、さんですか」
「思ったことを言え」
大倶利伽羅さんにもそう言われ、2人は射抜くような目で見て言わざるをえなかった
「……怖い、です。私の事、嫌い、不愉快って言われた時の表情が怖くて………なのに、私が眠ってた時、手を握られてて、その手は安心しました。でも、少しでも不愉快な感情があるなら、私は消えてしまおうと、思いました」
そう言って2人を見ると難しい顔をしている
「ごめんなさい、嫌ですよね、貴方達は燭台切さんと仲良いのに」
「光坊の言い分だけ、聞いてくれ………あいつは、佳奈の事がずっと好きなんだ。記憶を失くしたきみを受け入れられてなくて、あんなことを言ってしまったそうだ。本人は凄く後悔していた。今日の夕餉も遠く離れた席から君を見ていたんだ」
鶴丸さんに言われて私は動揺する
「光忠があんたに酷いことを言ったと聞いた時、俺はあいつと話した。だが、あんたのことは嫌っていないと言っていた………だが合わせる顔がないと言って部屋に閉じこもったままだ」
「っごめんなさい」
「きみは悪くないさ。きみは記憶を戻すことだけ専念してほしい」
「あぁ、鶴丸の言う通りあんたは気にすることは無い。ただ、酷いことを言ったが、光忠の事を酷い奴だなんて思わないでほしい………」
「………わかり、ました」
そういうと鶴丸と大倶利伽羅は出ていった
鶴丸さんが言ってた、遠くの席から私を見ていた燭台切さんがいたのなんて知らなかった
私はもう一度燭台切さんと面と向かって話をしたいと思けど、怖くて仕方がない
今日はもう寝てしまおうと思って布団に入った