第84章 馬糞は嫌いな奴に投げるのはいけない
そして私を連れてきてくれた人が口を開いた
「私は石切丸という。病気や腫れ物があったら私のところへおいで。切って差し上げよう」
えっ切って治すの?
死なない?大丈夫?本気なのかな
佳奈が意味をはきちがえて捉えていることをつゆ知らず、石切丸は笑顔だった
「俺は三日月宗近。天下五剣の中で最も美しいとされている、主とはこの本丸の初期の頃に出会った。所謂古参と言うやつだ」
「よ、よろしくお願いします」
古参の人に自己紹介をされて緊張する
三日月さんと石切丸さんに挟まれるように座ってご飯を食べた
「主、今日は出陣してもよいか?」
「出陣?ですか……」
聞きなれない言葉に私は聞き返す
「主が嫌ならいいんだが」
「すみません、大丈夫です」
そう言うと目を細めて笑った
目の中にある三日月が綺麗で、脳にいつかの三日月さんの目が過った気がした
見たことある目に少し動揺したけど取り繕うも三日月さんは私のことを見破っているような感じがする
ご飯を食べ終えると山姥切さんに呼ばれて、出陣部隊を組むことにした
前までやっていたこととは思えないことに少し恐怖心を抱く
私の指示で全てが決まると思うとすごく怖い
「第1部隊はこの編成で阿津賀志山へ行く。第2部隊は池田屋二階へ行く。第3部隊は江戸城下へ、第4部隊は遠征にで大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です。江戸城下は、強い敵がいると聞いているので気をつけてと伝えてください……怪我を少しでもしたら帰ってきてください」
「わかった。主、大丈夫だ。そんな心配そうな顔をするな……」
「す、すみません。大丈夫だって、分かってるはずなのに」
「主さーん!馬当番やりに行きましょう!」
そう言ったら鯰尾さんが来た
「では、俺は行ってくる」
山姥切さんは部隊を率いて出陣に向い、私は鯰尾さんと馬小屋へ向かった