第83章 優しさ
「主、大丈夫?入るよ?」
「僕も一緒だけど、いい?」
泣き疲れて何もかも嫌になって頭を叩いて、畳まれた布団にうつ伏せで倒れていると外から2人の声が聞こえた
「……来ないでください」
私が放った声音は冷たかった
やってしまったと思った
「俺達心配なんだ。部屋がどんなに汚くてもいい。俺は気にしないよ」
「僕もだよ。主の支えになりたい」
そんなことを言われて私は頼ってしまおうと思った
布団から起き上がって乱れた髪の毛は気にせず俯いて襖を開ける
「加州清光入りまーす」
「大和守安定入りまーす」
「ちょっと真似しないでよ」
「いいじゃん、こういう時くらい」
そんな会話をして中に入ってくる
「よし、清光やろう」
「そうだね」
私が立ち尽くしていると2人は部屋を片付け始めた
何をしているのか、ただ私は2人の行動を目に映すだけだった
「よし、終わり!」
「こっちも終わったよ。清光、主を」
「分かってる」
しばらくして片付けが終わり、目の前に清光さんが来た
そして手が振り上げらる
反射的に殴られると思って目をつぶるとわしゃわしゃと頭を撫でられた
「ほら、1人で閉じこもって溜め込まないの!今殴られるって思ったでしょ?そんなことするわけない。だからさ、もっと頼っていいんだよ?困った時は助け合う、それがここでの生活」
「僕、さっき実は長谷部とのやり取り見てたんだ。長谷部も悪気があって言ったわけじゃない。皆信じられていないんだ。現実を受け入れられてないんだ。僕だってビックリして夢じゃないのかって思う」
「皆不快になんてなってない。主のことみんな好きなんだ。だから不安になることなんてないよ。だからさ、そんな1人で泣かないで」
「………清光さんっ、私、早く、思い出さなきゃって、なのに、思い出せなくて、ぐすっ、1人で、辛かった」
「大丈夫、僕達がいる。主のことは知ってるから、だから思うままに生活して」
「安定さんっ、ありがとう、ございます」
それから私は泣き続けて、疲れたのか意識を失った