第10章 信
10歳までの時の事を話し、10歳までは何事もなく普通に過ごしていたからすぐに終わった。
問題は11歳からここに来るまでのことを話してと言われたことだ。
中学、高校から今までいろんなことがあり、人間関係が一番難しいなと感じた時期でもあった。
「ここに来るまではいろんなことがありました。人間関係も信頼関係も崩壊したり、あまりいいことがなかったです。なにやっても空回りしたり…まぁそれが社会人になっても同じことの繰り返しで、私には仕事しかありませんでした。でも使えない奴って裏で言われていて、それでも自分なりに頑張ったけど全てダメでした」
「人間関係と信頼関係が崩壊したってどういうこと?」
清光くんの質問に答えようとするも嫌な記憶ばかりがフラッシュバックしてくる。
「……ある日突然裏切られたり、無視されたり、省かれたり。原因は友達の好きな子が私に告白してきたからだったけど、私は断った。でもその男が振られたことに逆上して嘘をでっち上げて、私を孤立させた」
「何その男。女々しすぎるよ」
「まぁそれから何も誰も信じられなくなる。でも、それが卒業間近だったから良かったの。卒業しちゃえばもう関わる事は無いから…そう思ってたけどやっぱりそういう環境は私の性格を変えたんです」
「佳奈、もう良い。泣きそうな顔をしている」
「三日月殿のいう通りです。ぬしさま、苦しい記憶を無理に話すことはない」
あの時の記憶は私の中ではあまりにも辛すぎて、宗近と小狐丸の優しい言葉に言うのをやめようかと思ったけど、それを言わないと信頼なんてましてや家族みたいになんてなれないと思って話すのを続けた。