第82章 第一印象は重要
「主殿〜鳴狐が来て欲しいそうです」
狐が喋って前足で私の太ももをばしばしと叩く
私は立ち上がって目の前の狐に案内してもらって鳴狐さんの所へ向う
「主殿、鳴狐はこう見えて貴方のことをすごく心配していたんですよぉ」
「本当に心配だった。でも、主は記憶をなくして帰ってきた。粟田口にも、燃えて記憶が無いものもいる。でも主はいつかは思い出せると思ってる……困ったら頼って」
「……ありがとうございます。鳴狐さん、これからお願いします。あと狐さんもお願いします」
「私めはお供でいいですよ!」
「わかりました」
それから少し鳴狐さんと話をした
次に短刀さん達に声をかけられ
「大将、具合は悪くないか?」
「だ、大丈夫です」
「なら良かった。俺っち薬研藤四郎。よろしくな」
薬研藤四郎と名乗った子はしっかりしてるなと思った
「と、虎くん!だめだよ」
私の膝の上に小虎が乗っかってきた
可愛くて撫でているとゴロゴロと鳴いてくつろいでいる
「あ、主様す、すみません」
「大丈夫ですよ、可愛いですね。五虎退さん?でしたっけ」
「は、はい!僕は五虎退です」
五虎退と名乗った子は可愛らしい子だ
そして私の目の前でさっき1番最初に来た厚さんが私の元へ来る
「……大将、本当に本当に生きててくれて良かった。オレあの日からずっと後悔してた。大将、思い出した時は自分を責めないでいてくれ」
厚さんは私の手を握ってそう言った
私は記憶が無いから何も言えなかった
「あ、厚さん、これからお願いしますね」
「大将っ」
厚さんは抱きついてきて、みんなが騒がしくなった
「主君大丈夫ですかっ」
「前田、主さまを頼みましたよ」
私から厚さんを引き剥がした似ている2人が私の近くに来た
「前田藤四郎です。末永くお仕えします」
「平野藤四郎です。お供なら任せてください。どこまででもご一緒しますから」
似ていてどっちがどっちかごっちゃになりそう
「2人は似てるんですね。間違えちゃうかもしれないので、その時はごめんなさい」
不安だったから事前に謝ると謝らないでくださいとハモって言われた