第78章 ぶつけ合いは必要
それから私は何も解決もしないのに泣き続け、蜻蛉切さんには迷惑をかけた
「ごめんなさい、私」
「大丈夫です、気が済むまで、私はあなたのお側にいますから」
「ぐすっ、ありがと、ありがとう」
そして襖の外からまんばちゃんの声がした
蜻蛉切が私から離れて襖を開けると中に入ってくる
蜻蛉切と入れ替わるように座った
「主、大丈夫か?」
「まんば、ちゃん、」
私は心配させまいとゴシゴシと目を拭う
「そんなに目を擦ったら目が腫れる………蜻蛉切、少し俺と主だけにしてくれないか」
「………わかった。では、自分は失礼します」
蜻蛉切は私を不安そうに見て出ていった
まんばちゃんと2人になった
初めて自分が選んだ初期刀と二人きりになったことに少し動揺する
「主、申し訳ないことをした。俺が、燭台切にうじうじするなと言ったんだ……俺が、言わなければ誰も苦しむこと無かったんだ」
「まんばちゃんは、悪くない、悪くないから。私ね、ちゃんと、気持ち伝えたの、でも、伝えなきゃよかった……こんなことになるなら、私」
「佳奈、皆あんたのことを好いてる。無論俺もだ。だが、皆はあんたに幸せになって欲しいんだ…初めて画面の向こうであった日、あんたは幸せそうだった。でも、だんだんと目が死んで、帰りの電車で泣きそうになっていて、俺たちを見ていた。そして少しずつやつれていったのを知っている。だからこそ、だ」
まんばちゃんはなんでもお見通しだった
私はゲーム始めた頃は色々順調に進んで行った
でもそれからしばらくして、仕事で失敗が連発して異性関係も良くなかった
食事も喉を通らない日が何日かあって、あの時の私は生きる屍と言った方がいいレベルだった
でも、ゲームがあって次から次にグッズも出て、それだけを楽しみにしていたから生きていることが出来た