第77章 隠した気持ち
お昼ご飯を食べ終わり、食器を下げて私は直ぐに部屋に戻った
少し書類の整理をした
でも心ここに在らずで、何も出来ない
部屋に入ってくる昼下がりの日差しは暖かくて、私の心とは正反対だった
「主、少しよろしいでしょうか」
「どうぞ」
外から蜻蛉切さんの声が聞こえて答えると中に入ってきて襖を閉めて目の前に座る
「大丈夫ですか?」
「……大丈夫なわけ、無いよ。わかってるけど、傷ついてる自分がいる……光忠は私の事好きだって言ってくれた…私もね、気持ち伝えたの…でも、"一時の感情で、君の人生を壊したくないんだ。人の子は人の子らしく人生を歩んでほしい"って言われちゃった。言ってることは正しくて、でもああ言われるのは覚悟はしてたけど、いざ真っ向から言われると傷ついた、私、なんでかな、おかしいよね。兼さんのことも曖昧に答えたし、私ダメだな本当に…」
「……心というのは難しいですな。人の子と付喪神、付喪神と言えど我々は人の身を得ている。それもまた運命。私の前では素の自分ままでいてください」
「こんなこと、なるなら、私、気持ち伝えなきゃよかった、兼さんに申し訳ないことをした、どうしたらいいのかもうわからないよ、もう、消えちゃいたい」
蜻蛉切の手を握って涙を流した
一方その頃、厨には、燭台切、山姥切、大倶利伽羅、和泉守、太鼓鐘、乱、次郎太刀が集まっていた
「いきなりあれはないよ!」
「和泉守くん、ちゃんと主の顔見た?」
乱と次郎太刀が和泉守に詰め寄った
「…はぁ、なんでオレあんなこと言っちまったんだろ………気づいた時には口走ってた、悪ぃ燭台切」
和泉守はそう言って片手で顔を抑えて床に座り込んだ
「あの日、皆が協力してくれたけど、実は和泉守くんが主を見た時の顔見て気づいてたんだ、僕こそごめん……」
「どうして燭台切が謝るんだ」
「山姥切の言う通りだぜ、みっちゃん」
「和泉守、言ったことは取り返せない、光忠もだ。主は溜め込むからな……あとはわかるだろ?」
大倶利伽羅はそう言うと髭切と膝丸と加州と宗三がいる場所に赴いた