第75章 普段怒らない人を怒らせてはいけない
私の無理を言った指示にみんな快く引き受けてくれて急遽、源氏兄弟の歓迎会を行うことにした
お酒を飲んで疲れたからか若干酔いが回るのが早く感じつつ、源氏兄弟の元へみんな挨拶をしているのを見ていると、今剣と岩融がなにやら不穏だった
「…………ぼくは、ぼくは」
「今剣よ、そんな顔をするな」
岩融は今剣の頭に手を置いていた
「今剣、久しいな」
「ぼくは、よしつねこうのまもりがたなだったのに」
「今剣、今代の主はあのお方だ。何も言うな」
「そうだね。過去の主も大切だけど今仕えてるのは、あの子だからね。今剣、そんな泣きそうになることはないよ。ね、えーっと」
「膝丸だ!兄者!!」
「そうそう、膝丸!何年も刀やってると名前なんてどうでも良くなってしまうからね」
「兄者ぁ〜」
そうか、源頼朝と源義経か
日本史は好きだったけど、刀は分からなかったから今はたと気がついた
でもなんか大丈夫そうで安心した
そして広間の片隅がうるさくなって見ると、兼さんは陸奥守さんと取っ組み合いの喧嘩を始めてた
少し怒鳴っていてみんなその方を見ていた
やばい、あれはやばい……
止めないと………
「乱闘行為は禁止です!!!!」
私は取っ組み合いをしている大の男達の間に入って声を張り上げた
でも兼さんのグーパンが私の頬にあたり、陸奥守さんの蹴りが私のお腹に当たった
「……っいってぇ…………何しとんじゃあああああ!!!痛えよ!くそ!まじあーもういってぇな!!!!何しとるんやワレェ、主だぞ!私主だぞ!しかも女だぞ!!!喧嘩はやめろって言ってんだろうがああああ」
堪忍袋の緒が切れた
目の前の2人の顔が青ざめていた