第70章 燭台切光忠の想い
佳奈が言ったことを聞いて僕は思考が停止した
すぅすぅと寝息を立てている佳奈がたまらなく愛おしくて離すまいと力強く抱きしめる
僕よりも大分華奢な体は、少し力を入れたら壊れるんじゃないかって思うくらいだ
こんなに小さい体で僕を受け入れてくれて、喘いでくれて欲しがってくれて本当に嬉しい
明日には本丸に帰ることになっているけどこのまま、ずっとこの場所にいたいと思ってしまった
僕はいつの間にか、この人の子の虜になってしまっている
彼女は本丸に来る前からずっと僕の事を画面越しに、かっこいい今日も好きなんて言ってて、なんて薄っぺらい言葉を並べてるんだろうなんて思っていた
この子がある日突然本丸に来た時にはびっくりした
五虎退くんの虎に押しつぶされて、僕は見兼ねて手を差し伸べた。真っ赤にしていた顔は今でも忘れられない。そして一人になりたいからだったのかな、僕を拒んで酒を飲んで三日月さんに襲われるし、しまいには奇声を上げて本丸の廊下を走って僕はとんでもない人の子が来たんだと、呆れてものも言えなかった
そして佳奈の姿が見えないから、本丸の至る部屋を探して最後にお風呂場に辿り着いて、いくら主だろうと裸を見るわけには行かないと思いつつ心配になって見に行ったら、湯船で顔を湯につけて意識を失っている彼女を見て血の気が引いた
死んでしまうのでは無いかとあの時は本当に不安になった