第69章 ※正直に
光忠の温もりは暖かくて、でもどこか冷たくてこの人は刀なんだと再度思わされた
「……日も暮れてきちゃうね、そろそろ行こうか」
「……うん」
涙を拭って光忠から離れ立ち上がり、光忠も立ち上がると私の手を取った
「君と僕の思いはここに留めておこう。でも忘れないで欲しいんだ。今日のことはこの先もずっと」
「忘れるわけない、私は好きになった人がたとえ刀の付喪神でも好きな人には変わりない」
「残酷だとは思うけど、今まで通りにいこうね。さて、戻ろうか」
タクシーで駅に戻り、電車に乗って最初に来た街に戻ってきた
タクシーも電車の中も無言だった
でも手だけは繋がれていた
ホテルに入り、光忠は予約していたのかカードキーを受け取って部屋へと行った
荷物を置いて少しくつろいで夜ご飯を食べに行こうと誘われ、近くのレストランに入った
何もかもエスコートしてくれて完璧すぎる
「ねぇ、気になってたんだけどなんでこんなにエスコートが上手なの?」
「貞ちゃんと江雪さんと一期くんに言われてね、いろいろ調べてみたんだ」
「まじか、なんかすごいメンツだね」
ふふと笑いながら想像した
想像するにもその光景が凄すぎて何も言えない
「光忠、ありがとうね」
「そんな、僕は当たり前のことしたまでだから…それにしてもここのご飯は凄く美味しいよね。今度作ってみたいなぁ」
食べながら笑う光忠に見惚れた