第64章 熱と悪夢
「はっ、はぁ、はぁ…………ゆ、め?」
急に意識が浮上し、荒い呼吸を整えた
しばらく天井を見つめ、涙が滴り枕が濡れた
「っ…………だれ、か………」
自分の声だけが部屋に響き虚しく声は部屋に消える
涙は止まらなくて余計に頭痛もした
スーと襖が開いた
コトリとなにか置かれた音がして、そして暖かいぬくもりに包まれた
「主、安心してくだされ。起きれますか?」
蜻蛉切の声に首を横に振る
すると蜻蛉切は私の背中に腕を入れ上半身を起こした
「少々うなされていたようで、気になってしまいました」
「っありがと」
「これを飲んでください。長いこと眠られていたのです。水分をおとりになってください」
蜻蛉切に背中を支えられつつ、コップを受け取り水を飲み干す
「何があったのですか?」
「本丸が、この本丸がね、赤に染まってたの。私はどこかに閉じ込められて、みんな、守ってくれてたみたい、でも、無理だった」
蜻蛉切はその言葉に黙ったまま私の目を見つめた
「高熱で悪夢を見たのでしょう。何はともあれ少しは熱が下がったようで安心しました。怖がることはありません」
「ありがと」
「さぁ、まだ夜は深いので寝ましょう。私がついていますから」
手を握り私が眠るまでトントンとリズムを弾いて寝かせてくれた