第64章 熱と悪夢
「とりあえず水飲ませた方がいいんじゃないか?多分主のことだから俺達が帰ってくるまで何も口にしていない気がするんだ」
鶴丸がそう呟く
「確かにそうだね。主のことだから、本丸の中を動き回っていそう」
小夜もそう言い、少しでも水を飲ませることにした
「危ないから少し起きて貰わないとね」
光忠はそう言って佳奈の上体を起こし
「佳奈、少し起きて。辛いだろうけど水飲んで」
口元にコップを近づけ傾ける
うなされつつも少し佳奈の口が開く
そこへ水を少しずつ流し込んだ
光忠は嚥下したのを確認し上体を布団へとゆっくり寝かせた
「しばらくは大将は安静にさせておかないとならないな……騒ぎ立てるのもあれだから皆一度この部屋から出るぞ」
薬研はそう言い部屋にいる刀剣達と広間へ向かった
夢を見た
周りは赤に包まれてる夢
炎の赤、血の紅
誰かの叫び声も聞こえた
目の前にはまんばちゃんと五虎退と宗近と小狐丸がいた
”……!………ろ………くっ!!”
”……ぬし……ま……………で”
なに、なに言ってるか聞こえないよ
”…るじ様………………れて…………た”
”……でな………主”
まんばちゃんが最後に何かを言ったけど聞き取れなかった
4人が私を力尽くで暗闇に押し込みドンッと扉が閉まる
目の前が真っ暗になり、パニックに陥る
なにこれ!?出してよ!ねぇ、お願い、出して
私は泣きながら扉を叩き続けた
そこで夢が途絶えた