第64章 熱と悪夢
「みっちゃん、ちょっと襖あけてくれ」
襖の外から貞ちゃんの声がして僕は襖を開けた
「とりあえず桶に氷水を入れて持ってきたんだけど使えるか?」
「ありがとう貞ちゃん。タオルはここにあるから絞って主の額に乗せるね」
貞ちゃんから氷水が入った桶を受け取り、タオルを浸して絞った 佳奈の額に乗せると心做しか苦しそうな表情が和らいだ気がする
乗せた時に触れた佳奈の肌の熱さが伝わってきてとても心配だった
それにしても佳奈はなんであの時柱の影に隠れるようにいたんだろうかとふと脳裏をよぎった
佳奈の性格からして出陣部隊が心配だったのか
あるいは伽羅ちゃんと歌仙くんのやり取りを見て勘違いをして自分を責めて出てこれなかったのか
伊達に長い時間一緒にいるわけじゃないから後者の方が濃厚かな
でもなんでいきなりこんな高熱を出しているのだろう
人の子は脆いって知っていたけどこんなに熱が高い佳奈は初めてで少し怖くなる
主を失いたくはない
僕の心はそればかりが支配した