第63章 いても立ってもいられない
それから落ち着かなくてずーっと本丸内を歩き回っている
すこし頭がふわふわしてきたけど心が落ち着かなくて気に止めずにいた
そして玄関先が騒がしくなった
不安に思いつつ早足で玄関先に向かう
「だから、何度言ったらわかるんだ」
「ふんっ、好きに喚いていろ」
柱の影からそーっと覗いてやり取りをみてしまった
もうダメだこれ、心が痛くなってきた
私が無理にやったからダメだったんだ
どうしよう
思考回路は上手く働かなくてどうしようしか出てこない
手足が冷たくなってきて冷や汗が流れて心臓がバクバクと音を立ててうるさかった
「そこに誰かいるの?」
光忠の声がした
鼓動がより一層激しくなる
一歩も動けずにいると6人がいつの間にか目の前にいた
「あっ、えっと、おかえりなさい。そしてお疲れさまです…………ごめんなさい、ほんとに」
私はみんなの顔を見れずに、座り込んだ膝に顔を埋めた
心臓が落ち着かなくて、苦しい
呼吸も上手くできなくなってきて、悟られ無いように泣いてるふりをした
「主、顔を上げてくれ」
「鶴さんの言う通り顔を上げてくれよな」
鶴丸と貞ちゃんの声に反応することが出来ない
視界が狭まってきて体も暑くて眠るように意識が飛んだ
「主、歌仙と大倶利伽羅さんは大丈夫だから……………主?」
反応の無い佳奈に小夜が不審に思って頭を撫でたが声を発することも無かった
不審に思った大倶利伽羅が佳奈の体を揺すった
揺すった反動で体に力が入っていない佳奈は床に倒れた