第57章 やり直す
ドタドタと何人かの廊下を走る声が聞こえ襖が開かれた
「あるじさんの霊力が酷いんだけど!!」
「長谷部、主になにかしたの!?」
乱と清光が真っ先に部屋に入った
「お願いだ、やり直すなんて言うな、頼む、主、撤回してくれ」
佳奈の様子は明らかにおかしかった
「主?え、嘘、目が、時間、遡行軍の色に」
清光の呟きにあとから来た太郎太刀が瞬時に、佳奈の抱きしめられている背中にまわり、離れないように力強く目を塞いだ
「主、少々おいたが過ぎますよ。先程の言葉を撤回してください。そうしないと貴方を斬らなければならなくなってしまう」
耳元で太郎太刀は囁いた
薄れゆく意識の中、太郎太刀の声が沈むように聞こえてきた
「…って、かい、する、はぁっ、撤回、する、から、過去を、もう一…度やり直したいを、撤回、する」
そう言うと込み上げてきていた何かが静まるように体内へと戻って行った