第57章 やり直す
「あの、申し訳なくて、みんなに…ごめんなさい」
「主…」
その声とともに暖かい温もりに包まれた
「…少しだけここに居て……長谷部と一緒にご飯、食べたい」
「いいのですか?」
「うん」
「ありがたき幸せ」
そう言うと長谷部は素早く行動に移し、秒でご飯を取りに行って戻ってきた
「さぁ、冷めないうちに。痛み止めもここにあるので」
「ありがとう。いただきます」
箸を持ちご飯に手をつけた
「ねぇ、あのさ、みんなと決めたって?」
「加州清光が貴方のことを心配して、無理強いを避けるということを話し合っていました」
「……そうなんだ………じゃあ、みんな知ってるって事だよね」
「主、気を病まないでください。貴方は女性。それにここには刀剣男士とは言えど男しかいないのです。仕方がないといえばいいでしょうか」
「仕方が、ない………それは違うよ。私が流されやすいからいけないの。あの瞬間、あの時だけ、あの日を1から……過去をもう一度やり直せば……っ」
その言葉を呟いた瞬間、心臓がドクンと大きく音を立てた
全身が鼓動するようにじわじわと何かがカラダの中心から出てくる感覚がした
それを見た長谷部は佳奈をぎゅっと力加減を忘れるくらいに抱きしめた
「主!!しっかりしてください!!あぁ、佳奈、お願いだ、やり直すなんて言わないでください」