第50章 帰る
そして時は早く過ぎ夜になった
佳奈が寝かされている部屋には、全刀剣が集まって、今か今かと目が覚めるのを待っていた
初期刀である山姥切が佳奈のすぐ側で待機し、短刀達がその周りに集まっていた
主、主様、大将、主君、主殿、ぬしさま
遠くから私を呼ぶ声が聞こえる
過去の記憶に囚われて、縋り付き、心は苦しくて痛くて辛い
そこに差し伸べられるように優しい声が届く
その声に縋りついた
帰らなきゃ
みんなの居る所に、過去の記憶を清算して
だんだん意識がはっきりとしてきた
視界が白くボヤけてあと少しで目が開く
色んな声が聞こえる
心配してくれてるのかな
こんな私を心配してくれているなんて思って、烏滸がましいかな
ゆっくりと目が開く
ボヤけていてシルエットしか分からなかったけど、色んな刀剣達が視界に映り込んだ